news

八千代伝酒造【鹿児島】

「現場から世界を変えていく」


八千代伝さんを語る上で欠かせない最大の特徴は何と言っても、"農醸一体「農業法人」"という点。

つまり、自分たちで原料を育てて、自分たちで仕込んでいる蔵という事です。

実は酒蔵が「農業法人」の認可をもらう事は、超絶ウルトラ難易度の高い事でして、今後おそらく追随できる蔵は現れないと考えられています。

垂水(たるみず)という素晴らしい自然に囲まれた地で、様々な偶然が運命的に重なり「農業法人」となった八千代伝酒造さん。

この肩書きがある事で、「農地を所有」する事ができます。「農地を所有」しているからこそ、苗床などの生産拠点を農地に建てたり、より効果的に「農業」に注力できるんです。(※八千代伝さん以外の自社栽培をされている蔵元さんは農地を借りて自社栽培されていますので、所有者さんとの関係性によっては制約があったりする事もしばしば)

ちなみに、農業をはじめるきっかけとなったのは、後発の芋焼酎蔵だった為に、美味しい芋焼酎を造りたくても、品質の良い芋は全て有名蔵に流れてしまい、品質の劣る芋ばかりが納品されてしまう現状があった為です。

今では芋の畑の広さは14町(東京ドーム約3個分)、お米の田んぼは4.4町(東京ドーム約1個分)になりました(2023年現在)。


仕込む焼酎の芋の品種によって、収穫後の芋を仕込むまでの時間軸を変えているのも興味深い点です。

例えば、「黄金千貫」は可能な限りフレッシュな状態で仕込んだ方がいいという考えのもと、自社畑から収穫した芋をそのまま芋切場に搬入し、芋切りされます。あまりにフレッシュなので、切るところも少なく芋切り作業は30分かかりません。

「紅はるか」は特許を取得されている方法で「つるし」たり、「氷温」する方法で熟成し、甘みを存分に抽出して仕込まれます。

出来上がる焼酎は、どれもクリアで旨みの厚みがあり、それぞれの芋の"品格"を感じさせる仕上がりです。


「史上初の農業法人化」「史上初の全量自社栽培原料の焼酎の生産」「史上初の鹿児島県本格焼酎鑑評会1位を二連覇」など、前代未聞の偉業を成し遂げ続けている八木さん。

偉業もすごいのですが、何といっても焼酎造りに向き合う姿勢が素晴らしいので、ノミヤマ酒販とお取り引きのある蔵の方々からもよく名前があがる造り手でもあります。

独自の理論と実績が伴っている事もあり、大学や酒類研究所等で講師を依頼される事もしばしばです。

とにかく凄まじい「反骨精神」と「意思の強さ」そして「実行力」を持った農業醸造家八木さん率いる八千代伝酒造さんの焼酎。

この機会に是非是非お試しくださいませ!

仕込み蔵内の様子、とても綺麗にされています

鹿児島湾が見渡せる高台にある畑、美しい景色でした

収穫されたベニハルカ、これから熟成されます

米麹用のお米を栽培している田んぼ、こちらからは奥に猿ヶ城渓谷を見渡す事ができます